バレット食道(1)

2013年3月の記事です。

「先日胃カメラ検査で「バレット食道」という診断をつけた患者様がおられたのですが、ネットでいろいろ調べておられたようで、バレット食道に対して不安が強いとのことでした。
その方が見てくださるかわかりませんが、バレット食道について少しまとめてみたいと思います。

まず、「バレット食道」とはなんでしょうか?
「逆流性食道炎」という言葉はご存知の方も多いと思います。主に胃から胃酸や食べたものが逆流して、食道の粘膜が傷つき、胸焼けや胃もたれ、げっぷなどを起こすといわれる病気です。
いっぽう肝臓で作られた胆汁という消化液は十二指腸という胃の奥に出てくるのですが、中にはこの胆汁が食道まで逆流してくる方もおられます。
日常的に胃酸や胆汁が食道まで逆流すると、食道粘膜は傷つき、それらに対応するべく、食道下部の粘膜が胃粘膜に似た形態に変化してくる場合があります。それを「バレット食道」といいます。

バレット食道は胃カメラで診断をするのですが、日本では胃食道逆流の症状がある人の約15~20%にみられるという報告があります。バレット食道自体は決してまれではありません。
しかし、日本ではバレット食道からがん化した患者さんの報告はあまり多くありません。
欧米では食道がんの半数はバレット腺癌といわれていますが、現時点では日本の食道がんの約9割は扁平上皮癌というタイプで、バレット食道とは関係がないものがほとんどです。(扁平上皮癌はアルコール、たばこ、熱いものや辛いものをよく摂取する、などが危険因子となります)

つまり、「バレット食道」の診断をうけたからといって、バレット腺癌の心配をしすぎる必要はないと思われます。大切なのは、定期的に検査を受けていただき、きちんとフォローを行い、最悪がん化するとしても極力早期に発見し、治療のタイミングを失わないことです。(バレット食道から腺癌の発生は決して少ないわけではないのですが、ネットで見かける前癌状態という表現は過度の不安を招く気もいたします。)

現時点では、バレット食道のがん化を確実に防ぐ方法はわかっておらず、有効な方法についての模索が行われている段階です。胃酸を強力に抑える薬、アスピリンなどの消炎鎮痛剤、緑黄色野菜、ビタミンCなどが有効な可能性があると言われていますが、研究の結果が出てくるのを待っている段階です。一般的にはPPIという胃酸を抑制するお薬を服用していただくことが多いです。

長くなってまいりましたので、今回はこの辺で。 」

写真で見るとこのような感じです。

正常

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バレット食道(点線で囲った部分)

barret21

 

ほかの写真はこちらから

 

 

6件のコメント

  1. 人間ドックで、産業医の資料にバレット食道と記載がありました。詳しくその資料を見てはいなかったのですが、逆流性食道炎の症状もなく、胸焼けもなく、とくに胃が痛いとかもないのですが、それでも、バレット食道となる場合もあるのでしょうか?

    よろしくおねがいします。

    1. せきあいさん
      コメントありがとうございます。バレット食道は逆流性食道炎がベースにあると考えられていますが、逆流性食道炎は必ずしも自覚症状があるとは限りません。ですので、自覚症状もないのにバレット食道の所見が見つかることがしばしば見受けられます。
      バレット食道の程度や表面の荒れ具合によって、観察期間を設定したり、胃酸を抑えるお薬を処方する場合が多いと思います。

  2. コメント失礼します!
    本日胃カメラでバレット食道の所見があるとゆわれました。
    他院で7ヶ月前にも胃カメラをして、その時は軽い逆流性食道炎とゆわれていました。
    半年でバレット食道にまでなるものなんですか、それともその時からバレット食道ではあったが逆流性食道炎のくくりとして診断がくだったのか、、
    あとバレット食道になると食道癌になる可能性が高くなるんですよね?(>__<)
    よろしくお願いします。

    1. ひか様
      田中です。ご質問ありがとうございます。
      おっしゃるように、半年でバレット食道の所見が出る可能性もあるでしょうし、前回の胃カメラの際にすでにあったが、逆流性食道炎のくくりであった可能性もあります。
      しかし、バレット食道だからといって食道癌を強く恐れる必要はありません。
      定期的に胃カメラを受けて頂き、お薬を飲む方が良いか、主治医の先生とご相談されるとよいかと思います。

  3. ご回答ありがとございます。 会社の人間ドックの胃カメラで、バレット食道という記載があり、特に薬など、処方もされないままでした。経過観察とだけ、記載がありました。やはり、消化器科を再度受け、胃カメラをして、薬を処方してもらったほうがいいのでしょうか?

    1. せきあい様
      田中です。ご質問ありがとうございます。
      まずは、人間ドックの胃カメラ写真があれば、それをお近くの消化器科へお持ちください。
      それを元にご判断いただける可能性があると思います。

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